NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT JAN, 2025
2日間にわたり約16,000人の観客を動員した,
大型ヒップホップフェスティバルをレポート!
ENTERTAINMENT May 31, 2022
株式会社スペースシャワーネットワーク主催のヒップホップフェス「POP YOURS」が、千葉の幕張メッセ国際展示場9〜11ホールにて、5月21日(土)と22日(日)に開催された。各日それぞれのヘッドライナーはPUNPEEとBAD HOP。2日間合わせて37組ものヒップホップアーティストが出演し、2日間合計で約16,000人の観客を動員。また、YouTubeの生配信は約18万人が楽しんだ。
初日の記念すべきトップバッターは、dodo。「足下が悪い中、今日はみんな来てくれてありがとうございます」と開演の挨拶。この日の関東地方は、あいにくの雨模様。だが、開場時間には、入場ゲートに長蛇の列ができるほど、多くのヒップホップファンが集まった。「POP YOURS」は、全席指定でマスクは常時着用。大声、歓声、合唱は禁止。アルコール販売もなし。そんな中dodoは、「era it」、「Swagin like that」などを熱唱した。続いて登場したのは、バーチャルYouTuberのピーナッツくん。「今日は面白がられにきたわけじゃなくちゃんとカマしに来たから!」と、宣言。「グミ超うめぇ」他、エモいラップをぶちかました。SKY-HIは、MCバトル勃興期に小さいクラブでビール瓶を投げられたエピソードを回想。このビッグフェスに呼ばれた感謝の意を伝え、「Brave Generation -Remix-」などをラップ。
全身からエネルギーを放出して場内の空気を一変させたDADA、東京のオルタナティブでミクスチュアな感覚を体現した(sic)boyに続き、NEW COMER SHOT LIVEには、「ラップスタア誕生」で注目されたCYBER RUI、川崎の注目ラッパーCandee、ralphとの「Kick Up」が人気のJumadiba、東京のニューカマークルー、Sound’s Deliらがパフォーマンスし、フレッシュな空気を見せ付ける。
ヴォーカルとラップを融合させたスタイルのOZworldは、スタイリッシュなトラップに乗せてポジティブなメッセージを届ける。「NINOKUNI」のイントロが鳴ると観客は、スマホライトを点灯してレスポンスした。VaVaは、6月1日(水)にリリースされる約3年ぶりの3rdアルバム「VVARP」から「tAtu」を歌う。「Fruit Juice」では、Creative Drug Stroreの盟友、BIMが客演した。
金髪をコーンロウに編み込んだSALU。TikTokでバズった「Good Vibes Only」から日本語ラップのクラシック「RGTO」まで、様々なスタイルでDAY1の中盤を盛り上げた。
続く田我流は、バックDJのMAHBIEに加え、サックスに後関好宏、トランペットに川崎太一朗という編成。stillichimiyaが全員集合した「やべ〜勢いですげー盛り上がる」や、「ゆれる」のアカペラなど、感情を揺さぶるパフォーマンスを披露した。「今日は友達いっぱい連れてきてるから」と話したJJJは、「Cyberpunk」でBAD HOPのBenjazzy、「filter」でCampanellaを呼び込む。また、「2024」では、バックDJも務めたKID FRESINOがマイクも握る。故Febbのラインに差し掛かると、まるでFla$hBackSの3人がメッセの舞台に立ってるようだった。
STUTSは登場するなり、MPCでファットなキックを連打。あまりの音の大きさに驚いた。そのグルーヴで、BIMとRYO-Zをフィーチャーした「マジックアワー」などをプレイ。さらに、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌「Presence」に、BIMとDaichi Yamamotoを呼ぶサプライズも届けてくれた。
LEXは、メインステージ、花道、突き出しのセンターステージ全体を使うハイクオリティなパフォーマンスを見せた。ライブDJは、KM。ダンサーを引き連れ花道を歩き、センターステージでラップする姿は、まさに新世代のスター。「Romeo & Juliet」などに加え、大ヒット曲「なんでも言っちゃって」には、JP THE WAVYをフィーチャー。その流れからWAVYのライブへ。
1曲目は、LEXとOZworldがゲストの「WAVEBODY」。「We Comin’」からは、パートナーのNiina、Amami Queenらお馴染みのダンサーたちが舞台を華やかにする。ラストは、映画「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」のOST曲「BUSHIDO」で締めた。
KANDYTOWNのライブは、同じ大所帯クルー、ウータン・クランさながらのパワフルさ(実際に「Paper Chase」をウータンの「C.R..E.A.M.」の上で披露)。ステージには、オカモトレイジの姿も。何のてらいもなく徹頭徹尾クールを貫けるのが、彼らの強みだ。「R.T.N」、「One More Dance」など、熱いマイクリレーで終盤を盛り上げた。
DAY1のトリ、PUNPEEは、オープニング映像から設定盛り盛り。2042年の未来からタイムマシンに乗って2022年の幕張にやって来る設定。映像が終わると後方の大型ヴィジョンが開いて、タイムマシンに模した実車が登場する何ともPUNPEEらしいオープニング。ヴィジョンを存分に使って「水曜日のダウンタウン」や「ODDTAXI」など、自身が関わったコンテンツを惜しみなく見せていく。サービス精神の塊。名曲「Renaissance」をはじめ、OMSBをフィーチャーした「Life Goes On(あんじょうやっとります)」、スカート(澤部渡)が歌う「ODDTAXI」、STUTSとの「夜を使いはたして」など、視覚的にもエンタメ要素が満載で観客の疲れをぶっ飛ばすライブをカマした。
快晴となったDAY2は、ダンスミュージックを取り入れたどんぐりず、ヴァイブスをたぎらせるFuji Taito、ダークな声と卓越したラップスキルが魅力のralphが登場。午前中からすごい勢いのライブが続く。
NEW COMER SHOT LIVEには、Skaai、eyden、homarelanka、MFSが、大舞台に臆することないパフォーマンスを見せた。
Hideyoshiは、「TOKIOKI」で「今日はTOKYO YOUNG VISIONみんな連れてきたぞー!」と叫んで、Young Dalu、OSAMI、Big Mikeを呼び込んだ。人気曲「Innocence」では、観客が一斉にスマホをかざし、会場と一体になって熱狂と幻想が交差するライブを作り上げた。kZmは、一発目から「TEENAGE VIBE」で場内のテンションのギアを上げる。メッセの観客がぶち上がる様子を見て、「俺らのやってるヒップホップでこんな景色が見られると思わなかった」と話す。「27CLUB」の前には、観客全員を座らせてから合図で全員ジャンプさせる。フェスならではの一体感が強まった。
Daichi Yamamotoは、ソウルシンガーを思わせるスーツ姿。前半は、「Let It Be」、「One Way」、「MYPPL」(KM)とグルーヴィなナンバーを畳み掛け、後半は「Afro」、「Everyday People」など、内省的なナンバーをしっかり聴かせた。1st EP「Black de.ep」が発表された2008年に、MONJUが幕張メッセでライブすると誰が想像したか。「Blackdeep」など、ヘッズにはたまらないナンバーを連発して、輝くようなグルーヴで観客を揺らした。
C.O.S.A.は、信念を落とし込んだ歌詞を魂でスピットする。「LOVE」、「Cool Kids」、「知立Babylon Child」、「Mikiura」、「Girl Queen」など、新旧織り交ぜたナンバーで自身の多面性を表現した。Tohjiは、のっけから「Higher」、「mallin’」というフロアバンガーを投下。Elle Teresaが客演した「GOKU VIBES」、「ULTRA RARE」、「POOL SIDE」といった代表曲から、「ねるねるねるね」、「Super Ocean Man」といった新曲まで、新世代のヴァイブスを炸裂させた。
5lackは、CM曲になった「東京」に加え、2ndアルバム「WHALABOUT?」から「That’s Me」、1stアルバム「My Space」から「Hot Cake」といったクラシックを連発。観客を狂喜させる。続くのは、BIM。バックDJには、Creative Drug StoreのdooooとDJ ZAI(SIMI LAB)、ギターは竹村郁哉(Yogee New Waves)、ベースはスズキシンゴ(Ovall)、キーボードはTAIHEI、ドラムはカンノソウ(BREIMEN)というスペシャルなバンドセット。「BUDDY」では、PUNPEEも登場した。
一方、¥ellow Bucksは、東海のエネルギーを全身から発するカリスマ。「Ready or Not」の後、「去年は後半に色々騒がしたけど、2022年も俺は騒がしていくぜ」と、自信満々。名古屋の伝統から新たなヒップホップの怪物が生まれた。後半には、JP THE WAVYが登場して、¥ellow Bucks版「WAVEBODY」を歌う。
Awichも凄まじいライブだった。暗転した会場に一筋のスポットライトが当たり、彼女の半生を歌う「Queendom」からライブはスタート。大切な友人、kZmを招いた「NEBUTA」では、2人は熱い抱擁を交わし、観客がスマホのライト点灯した「Revenge」では、Awichも涙を拭った。また、故郷である沖縄のことを歌った新曲「TSUBASA」には愛娘、Yomi Jahもラップで参加。大ヒットソング「Remember」はもちろんKEIJUと。最後に「BAD BAD」を歌った後、Awichは「“POP YOURS”、来年もやろう! みんながもう1人ずつ連れてくれば、次は倍の広さでできるじゃん」と話し、Awichはもちろん、観客もスタッフもみんな笑顔になった。
大トリはBAD HOP。メンバー全員にスターの風格が漂い、ステージ上での存在感が凄まじい。切り込み隊長Benjazzyが、「最後まで盛り上がれるやつらは手を上げろ」と叫ぶと、「Handz Up」から「Poppin」と、アゲ曲を連発。ステージでも火柱が巻き上がる。「Chop Stick」、「Ocean View」、「Suicide」など、新旧の様々なテーマのナンバーをこれでもかと連発した。また、彼らの現在地を歌った「Bayside Dream」は、ヒップホップは社会の外にいた人たちが社会の中へアクセスするためのツールであることも実感させた。
2日間にわたる「POP YOURS」を締めくくったのは、「Kawasaki Drift」。「川崎市で有名になりたきゃ、人殺すかラッパーになるか」は、日本語ラップの新しい定番パンチライン。この1ラインにヒップホップのコンテクストが詰まってる。表面だけじゃない。ディグすればするほど、新しい魅力が見つかる。ヒップホップは、現代のポップカルチャーなのだ。
日程:5月21日(土)〜22日(日)
場所:幕張メッセ国際展示場9〜11ホール
主催:株式会社スペースシャワーネットワーク
制作:SMASH
制作協力:HOT STUFF PROMOTION
Artwork:nagafujiriku
Art Direction:坂脇慶
Design:飛鷹宏明
popyours.jp
PUNPEE、DADA、田我流、dodo、JJJ、JP THE WAVY、KANDYTOWN、LEX、OZworld、ピーナッツくん、SALU、(sic)boy、SKY-HI、STUTS、VaVa
《NEW COMER SHOT LIVE》
Candee、CYBER RUI、JUMADIBA、Sound’s Deli [AtoZ]
BAD HOP、Awich、BIM (BAND SET)、C.O.S.A.、Daichi Yamamoto、どんぐりず、Fuji Taito、Hideyoshi、kZm、MONJU、ralph、5lack、Tohji、¥ellow Bucks
《NEW COMER SHOT LIVE》
eyden、homarelanka、MFS、Skaai [AtoZ]