NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT DEC, 2023
邦画史上に燦然と輝く永遠のマスターピース,
金子正次 初主演作「竜二」の40周年記念上映。
ENTERTAINMENT Oct 27, 2023
1983年に夭折した金子正次主演、原作脚本、川島透第一回監督作品「竜二」の公開40周年を記念し、DCP(デジタルシネマパッケージ)版が10月27日(金)より、テアトル新宿、シネ・リーブル梅田他にて全国公開される。
80年代の邦画を代表する傑作であり、今なお多くのシネフィルを魅了し続ける伝説的映画「竜二」。1983年に初公開された本作は、主演を務めた金子正次が自ら脚本を書き、自費や親戚、知人から集めた1000万円の資金を投じて、監督の川島透を含む映画学校時代の友人たちと共に35mmフィルム撮影、35mmフィルムでのプリント上映の商業映画を作るという、前代未聞のプロジェクトがその発端。配給会社も決まらぬまま1983年1月にクランクインすると、3月19日にクランクアップ。そして、同年10月29日に無事劇場公開がスタートした。ただ、大病を押して映画制作を続けていた金子は、満席立ち見となった初日舞台挨拶を終えると、帰宅後に倒れ、そのまま緊急入院。同年11月6日に胃がん原発のがん性腹膜炎にて、わずか33歳でこの世を去ることとなった。
金子にとって初映画、初主演作であり遺作となった「竜二」は、日本アカデミー、ブルーリボン賞、毎日映画コンクール、報知映画賞など1983年度の映画賞を総なめに。当時、ヤクザ映画自体が下火だったこともあり、昔ながらの様式美に則った任侠映画でもなく、「仁義なき戦い」シリーズのような実録モノでもない、派手な暴力描写を排したビタースイートな青春群像劇ともいえる異色のヤクザ映画は興行的にも成功を収め、映画界の話題を席巻。その後、現在に至るまで様々な映画監督や俳優のフォロアーを生み出すなど、日本映画の潮流が変化したエポックメイクな作品として今なお語り継がれている。
物語の舞台は、1980年代の新宿 歌舞伎町界隈。三東会の花城竜二(金子正次)といえば、新宿界隈ではちょっと名の知れたヤクザだった。闇のルーレット場をアパートの一室に開き舎弟二人に仕切らせ、ヤクザ稼業は順調だった。しかし、ある日、妻(永島暎子)と娘のためにヤクザ稼業から足を洗う。仕事を見つけ、毎月給料を妻に渡し、夜は娘と過ごす。平凡で質素な家族との生活に最初は心の安らぎを覚えた竜二だったが、明日も続くだろう平穏な暮らしに不安を覚えはじめる……。
本作はこれまでニュープリント版(1999年3月27日 中野武蔵野ホール「竜二」全国上映委員会配給)時の35mmプリントで再上映し続けてきたが、2020年末に国立美術館登録資産として国立映画アーカイブ納入をきっかけにDCPを作成。今回は、DCP版としての初のリバイバル上映となる。また、全国各地の上映劇場では、公開当時のインタビュー再掲や初のスタッフキャストプロフィールなどを掲載した永久保存版のパンフレットや2023年版B2ポスターの販売に加え、映画の世界観を体感できる展示なども開催されるようなので、作品鑑賞と併せてそちらもお見逃しなく。
10月27日(金)よりテアトル新宿、シネ・リーブル梅田他にて全国順次公開
監督:川島透
脚本、原作:鈴木明夫(金子正次)
出演:金子正次、永島暎子、北公次、佐藤金造(現・桜金造)、小川亜佐美、泉アキ他
1983|日本|日本語|カラー|アメリカンビスタ 1.85:1|モノラル|DCP・35mm|92分
制作:PRODUCTION RYUJI
配給:Makotoya Co.,Ltd.
©1983 momo.k