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1971年の初披露から50周年を迎えた,
伝説のランボルギーニ“ミウラSV”を振り返る。
LIFE STYLE Apr 27, 2021
アウトモビリ・ランボルギーニは、伝説的なスーパーカーとして名高いミウラSVが初披露から50年目を迎えたことを記念し、開発当時を振り返った。
1971年3月、ジュネーブモーターショーのカロッツェリア・ベルトーネの展示スペースにて初披露されたミウラSV。当初はSシリーズに付随するモデルとして構想されていたが、“ヴェローチェ(超高速)”を意味するVを冠した本モデルは、そのあまりの反響の高さから結果的にSシリーズの後継となった。こうしてランボルギーニブランドのプロダクションの中で、最も高い人気を誇るミウラSVは、スーパーカーというコンセプトを具現化した1台として、ミウラの中でも最高峰と称されている。
当時のランボルギーニのチーフエンジニアでミウラとミウラSVの生みの親である、ジャンパオロ・ダラーラとパオロ・スタンツァーニは、ミウラの生産を始めてからの5年間の経験がSVに活かされていると語っている。SVのエンジンは、最高出力が385hp/7850rpmに高められ、最大トルクも40.7kgm/5750rpmに改善。ウエーバー製のトリプルバレル キャブレター「401DL3c」も再セッティングされた。エンジンとギアボックスで独立した潤滑システムが導入されたのは、ミウラSVの生産開始後だったが、外見上は分からないこの変更は技術的には極めて重要な改良となった。
また、SVは他のミウラと比べて技術面でもスタイル面でも大きく異なっている。4リッターの12気筒エンジンをリアミッドに横置きするレイアウトはそのままに、剛性の高いシャシー、アンカーポイントとアームが改良されたリアサスペンションシステム、130mm近いワイドトラックを採用し、前後のタイヤサイズもそれぞれ変更された。デザインはよりスポーティに変わり、魅力的なゴールド仕上げのリアが当時のオーナーに最も選ばれたという。
技術的変更に伴い、エクステリアの変更が必要となり、ミウラのオリジナルプロジェクトを担当したマルチェロ・ガンディーニがその役割を担った。拡大されたリアフェンダー、デザインを一新したテールライト、新設されたラジエーター用エアインテークが印象的なフロントボンネットがその特徴だが、最も重要な変更点はヘッドライト周りの「アイラッシュ(まつげ)」がなくなったことだろう。この変更は技術的な理由ではなく、アイラッシュの組み立てと完璧な仕上げが非常に高度で時間を要したため、フェルッチオ・ランボルギーニが生産時間を短縮するために決定したものである。しかし彼自身のミウラSVにはアイラッシュを残しており、それがこの仕様を採用した唯一のSVとなった。公式な最高速度は時速290kmを超え、スタンディングスタートから1000mの加速は24秒未満。これは当時としては記録的な性能であった。
ミウラSVは初披露から2年後の1973年に生産終了するまで150台が作られた。1975年に実業家のウオルター・ウルフのために最後の1台が特別に製造され、現在はサンタアガータにあるランボルギーニミュージアムに所蔵されている。その生産終了により、スピードとしなやかなラインが一世を風靡した時代は終わりを迎えたが、それは同時に多くの人にとって今なお最高に美しいと思える車を生み出した幸せな時代でもあった。