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DESIGNER INTERVIEW
MATTHEW MILLER

「インターナショナル・ウールマーク・プライズ」優勝者、
マシュー・ミラーにインタビュー!

 

 

ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業後、自身のブランドを立ち上げたマシュー・ミラー。2012-13年秋冬のロンドンメンズコレクションでショーデビューを果たし、テーラードとユーティリティを軸とした唯一無二のクリエーションを武器に、階段をゆっくり着実に駆け上がっている。そして今年1月、「ザ・ウールマーク・カンパニー」が主催した国際的なデザインアワード「インターナショナル・ウールマーク・プライズ(IWP)」の2017-18年度メンズウェア部門でグランプリを受賞。10月10~16日の期間中、「日本橋髙島屋S.C.」と「髙島屋大阪店」で開催された「IWPリミテッドストア」のために来日したマシューに話を訊いた。

 

 

SWAG HOMMES(以下S) 「インターナショナル・ウールマーク・プライズ」のグランプリ受賞、おめでとうございます! 1月のピッティ・ウオモの最終審査会を拝見しましたが、機能性と美しさが際立っていて、強く印象に残っています。今回の「ザ・ウールマーク・カンパニー」とのカプセルコレクションについて、教えていただけますか?

MATTHEW MILLER(以下M) ありがとう。僕は以前からウールという素材が好きなんだ。最近はイノベーティブな技術が続々と出てきていて、今回のカプセルコレクションで使ったウールは、どれも革新性に満ちている。例えば、このハリのあるコートはヴァルカナイズドウールで、完全防水を実現しているんだ。暑い時はウエストのベルトを付け替えて、バッグのように肩に掛けられるようになっている。同じ素材の帽子は、被らない時はカラビナでコートと連結出来るんだ。

 

MATTHEW MILLER  Shirt ¥29,000  Pants ¥25,000  Cap ¥10,000  Stole [Reference Product] (NIHONBASHI TAKASHIMAYA SHOPPING CENTER MAIN BUILDING / OSAKA TAKASHIMAYA)

 

MATTHEW MILLER  Coat ¥178,000 (NIHONBASHI TAKASHIMAYA SHOPPING CENTER MAIN BUILDING / OSAKA TAKASHIMAYA)

 

S 日本では“ケンピ”と呼ばれるウールのブルゾンも素敵ですね。

M このクラシックな表情のケンピのウールは日本の茅ヶ崎紡織のもの。とても革新的なことをやっている生地会社で、生地見本をたくさん持っているのも魅力的。イタリアやフランスの生地屋で新しい生地を頼むと、サンプルが出来るまでに2カ月くらいかかるからね。あと、京都のSCデザインラボにプリントしてもらったウールも使っている。2年ほど前に、ロンドンのアトリエに担当者が訪ねて来てくれて、それ以来の付き合い。今回の来日でようやく彼らの工房に行くことが出来て、本当に嬉しかったよ。

 

MATTHEW MILLER  Jacket ¥62,000  Pants ¥25,000  Cap ¥10,000  Stole [Reference Product] (NIHONBASHI TAKASHIMAYA SHOPPING CENTER MAIN BUILDING / OSAKA TAKASHIMAYA)  

 

S ウールという素材の魅力は?

M ウールはメンズウェアの基本的な素材。大学とロンドン・カレッジ・オブ・アート時代からよく使っていたけど、機能的で再利用が出来る素晴らしい素材だと思うよ。

S 天然の機能素材であるウールが再注目されている一方で、マシューさんの作る服も機能的なものが多いですね。

M そうだね。僕はユーティリティ性に優れた服が好きなんだ。ケンピのウールのブルゾンは、フィッシングベスト並にたくさんのポケットが付いていて、これがあればバッグはいらない。機能的なアイデアは、ミリタリーウェアを参照にすることが多いかな。メンズウェアの多くはミリタリーからきているから。あらゆる国、年代のミリタリーウェアをコレクションしていて、ロンドンでは「ザ・ウォール&ピース リバイバル」というミリタリーのイベントがあって、そこで手に入れることが多いんだ。

 

MATTHEW MILLER  Coat ¥178,000  Pants ¥25,000  Cap ¥10,000  (NIHONBASHI TAKASHIMAYA SHOPPING CENTER MAIN BUILDING / OSAKA TAKASHIMAYA)  

 

 

 

S 2019年春夏コレクションでは、「Kスイス」と防水ハードケースで有名な「ペリカン」とコラボレーションしました。

M 「Kスイス」とのコラボレーションは、古い生地から新しい生地を作るバルセロナ発のリサイクルテクノロジーを用いたものなんだ。「ペリカン」のバッグは永遠に使えるほど頑丈で、以前から大好きだったから、僕からコンタクトを取って実現したんだ。小さいバッグは、スマートフォンや財布を入れるのにピッタリで、自分でも早く使いたくてウズウズしているよ(笑)。

 

MATTHEW MILLER     Pants ¥25,000  Cap ¥10,000  Coat, Stole [Reference Product] (NIHONBASHI TAKASHIMAYA SHOPPING CENTER MAIN BUILDING / OSAKA TAKASHIMAYA)  

 

 

S 最近は、オーバーサイズの流行がひと段落して、スリムなシルエットを提案するデザイナーが増えてきています。マシューさんは以前から一貫してスリムなシルエットの服を提案してきていますね。

M スリムなシルエットは自分にとっては自然なこと。オーバーサイズが流行していても、それに流されるなんてことはない。

S トレンドは関係ないということ?

M ファッションデザイナーがトレンドを気にしたり取り入れる行為は、トレンドから遅れていると宣言しているようなもの。ラグジュアリーなものを提案する人間として、僕は自分の内側から湧き出る衝動、ヴァイブスみたいなものを大切にデザインしている。

S インスピレーションソースはどこから得ているんですか?

M 図書館に行って、良いなと思ったものはコピーをとるようにしている。その時に気になるものを壁に貼っていって、そこからデザイン作業を始める感じかな。デジタルな道具も活用するけれど、アイデアを形にしていくのは手作業。グレーディングはデジタルに頼るけど、クリエイティブな作業はアナログでやる派だね。

 

MATTHEW MILLER  Coat ¥168,000  Pants ¥25,000  Cap ¥9,000 (NIHONBASHI TAKASHIMAYA SHOPPING CENTER MAIN BUILDING / OSAKA TAKASHIMAYA)  

 

 

S ここ数年で、モードとストリートの距離が縮まりました。

M そうだね。でも、また離れ始めているようにも感じる。10月のパリコレクションでは、ストリートの要素が減って、テーラーリングが復活してきたしね。ストリートがなくなることはなくて、今後はラグジュアリーはラグジュアリーで、ストリートはストリートという時代に戻るような気がする。

S マシューさん自身はどういうカルチャーを通ってきたのですか?

M テーラードとストリートの両方だね。だから、その2つを切り離さず、両方をミックスしていきたいと思っている。それが自分にとって自然だと思うから。

S 今、ロンドンで盛り上がっているカルチャーやファッションは?

M クロスボディバッグはベルリンから火が着いた流行だけど、それほどの時間差がないうちにパリやロンドンにも広がっていった。Instagramやインターネットの影響で、スタイルやトレンドがグローバルになってきているよね。でも、目を凝らせばその都市ならではの流れみたいなものはあって、最近のロンドンで面白いと思うのはスーツ。ほんの少し前まで、スーツはビジネスの現場で着るものだったけれど、最近はスーツを着なくてもいい会社が増えてきた。結果的に、スーツがドレスアップするためのお洒落着として復活してきている気がするんだ。あと、ロンドンの若い子達の間で流行っているのが、2000年代初頭のマトリックス的なファッション。2000年代ももはや再発見される時代なのかもしれないね。

S 最後に、今後のビジョンを聞かせてください。

M まずは、ビジネスを安定させていきたい。物作りの面では、日本の企業との取り組みをもっと増やしていきたいな。日本の物作りは本当に美しくて、製品には作り手の愛情がこもっている。物作りの考え方、完璧でない美しさの追求とか、日本には学ぶことがたくさんあると感じている。あと、旅をするのが好きだから、世界中の都市でコレクションを発表したい。そのうち東京で最新コレクションを発表するなんてこともあるかもしれないよ。

 

[Profile]
MATTHEW MILLER

ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業後、マシュー・ミラーをスタート。2012-13年秋冬シーズンのロンドン・メンズコレクションでショーデビュー。機能とモードを高い次元で融合させたコレクションは、高い評価を受けている。

 

[Award Information]
INTERNATIONAL WOOLMARK PRIZE(IWP)

「インターナショナル・ウールマーク・プライズ(IWP) 」は、「ザ・ウールマーク・カンパニー」の前身である国際羊毛事務局(IWS,International Wool Secretariat)により、新たな才能発掘のために創設され、1953 年に初めて開催されたアワード。オーストラリア産メリノウールの美しさと多様性に注目する世界中の才能ある新進デザイナーにとって、世界で最も栄誉あるアワードと称される「 IWP」 は、国境や文化を越え、若き才能にスポットライトを当て続けている。1954 年にパリで開催された大会では、イヴ・サンローランとカール・ラガーフェルドが優勝し、キャリアスタートの一翼を担っている。ファッション業界をはじめ、モデル/俳優などの著名人が歴代の審査員を務めており、2018 年度の「IWP」の審査員は、デザイナーのフィリップ・リム、イタリア版ヴォーグ編集長のエマニュエレ・ファルネティ、モデル/女優のアンバー・ヴァレッタらが務めた。2018 年度から、リテールパートナーとして髙島屋も加わり、ファイナル大会の審査員としても参加している。
www.woolmarkprize.com/news/matthew-miller-in-stores-now

 

 

[Information]
NIHONBASHI TAKASHIMAYA SHOPPING CENTER MAIN BUILDING 03-3211-4111
OSAKA TAKASHIMAYA 06-6631-1101
www.matthewmiller.eu

Interview & Text_Kaijiro Masuda